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僕は頭をフル回転させ、つじつま合わせを考える。
「キミたち……というよりも、パイロキネシスの彼。彼に、クロエはずいぶんと酷いことを言われたからね」
炎を封じられたパイロキネシスが身をすくませる。
「簡単に『マンイドクエイク』でキミたち二人とも気絶させてやろうかとも考えたが、それでは溜飲が下がらない。だから、仕返しをしてやろうと思ってね」
ここで僕は、一呼吸置く。氷魔法使いは、固唾を呑んで動かない。僕の話を聞く腹づもりのようだ。
「まず一に、僕の能力である『追呪符』でキミの盗み聞きを感知した」
それらしく、勿体ぶって、突っつき所を提示する。
反応するならそれでよし、そうでないならそれでよし。
氷魔法使いは、きっちり反応してくれた。
「ま、待って、そんな……! あんたがそのサキュバスを強化したなら……なんで、他の能力も使えるのよ!? しかも、呪符……!? 呪い師……?」
氷魔法使いは大いに混乱してくれている。僕は呪い師がどんなものか知らないが、彼女にとっては困惑せざるを得ない存在らしい。
ならばその知識、毒とさせてもらおう。
「何……今回は、呪符を使ったまで。一番弱い感知系能力だったが、それで十分だったからな」
「……今……なんて……」
氷魔法使いの顔が驚愕に歪む。
だが、これで終いと思ってもらいたくない。虚栄は纏えるだけ纏わせてもらう。
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