『ムゲン王と呼ばれた男』

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「……の、のう、ナミヒト。ちょっとよいか?」 ここまで考えたとき、クロエが声をかけてきた。 「……何か思いついた?」 「う、うむ……」 頷くクロエ。しかし、歯切れが悪い。 「……どんなのなんだ?」 「……この方法を使えば、間違いなく勝てるじゃろう。しかし、危険な方法じゃ。……ナミヒトが……」 「確実に勝てるなら採用だ。内容は?」 「ちょっ……! も、もうちょっと躊躇うもんじゃろう……」 「さっき僕の魂を見たんだろう。誇れる勝利のためなら、躊躇うものか」 「ぐぬぬ……。分かった、内容を話そう」 クロエは観念したように話し出す。 「我はサキュバスじゃ。そして、サキュバスは精力を糧に力を得る種族じゃ。ナミヒトはそう認識しておるじゃろう?」 僕は頷く。 「そして我は、サキュバスの王女。サキュバスの直系であり、その力はサキュバス族で最も強いじゃろう」 「うん」 「可愛い返事じゃのう」 「いいから」 「すまぬ、つい……。また、精力と魂は深い関係がある。魂が精力を生み出し、精力が魂を滾らせる。我がサキュバス族にとってはこれが通説じゃ」 「……うむ」 「無理して返事を固くせんでもいい。じゃから、サキュバスにとってエネルギー吸収効率の良い精力、つまり魂というものがある。人間でいうところの、味の好みみたいなもので、それはサキュバス一人ひとり違うのじゃ」 「……うん」 「かわいい……。なんかもう魂がかわいい……。でじゃ、サキュバスはその好みの魂は一目でわかる。そういう生態をしておる。この生態を使い、サキュバスは好みの魂の持ち主を捜し、せ、性行為を通じて精力を吸うのじゃ。それが最も効率がよく、安全じゃから」 「うんっ」 「……スケベな話には力強い返事じゃのう……」 男の子だから。しかし……。 「……安全、とは」 「聞き返してほしいところで聞き返してくれるのぅナミヒトは。実のところ、サキュバス族はもっと効率の良い精力吸収の手段がある。知っておるか?」 「……初耳だ」 「やはり伝わっておらぬな……。これが伝わっておったら、サキュバスはもっと恐ろしい悪魔と認識されておったやもしれん……」 「……で、その手段とは」 僕は先を促す。
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