『ムゲン王と呼ばれた男』

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「まぁ待て、時間が無いのは分かっておるが、きちんと説明したい。……まず、今のサキュバスの精力吸収の主流の方法が……性行為である理由を述べようと思う」 「恥ずかしがる方がそそるぞ」 「言わんでいい、魂を見ればそう思っておるのは分かるっ。……せっ、性行為で吸精するのは、せい……精子をすすり、その中に子種に宿る数億の魂から吸精しておる。数億の命の灯は大量の精力を我らサキュバスにもたらしてくれるそうじゃ」 「伝聞系」 「当たり前じゃろう経験ないんじゃからっ。しかし、いくら数億の命の灯とはいえ、それらはまだ成長も仕切っていないどころか、成長が始まってもおらん未熟な魂じゃ。成長しきった魂一つとは比べ物にならん。もし、そのサキュバスの最も好みで、成熟した魂を吸うことが出来れば、死ぬまで吸精が必要なくなり、得る力はあの白き魔王に匹敵すると言われておる」 「……その白き魔王とやらは知らないが、壮大さは伝わった」 「ぐぬぅ、そうじゃな知らんよな……。まぁ、とてつもない力じゃ。しかし、その魂を吸う、という行為は、吸精相手にとても危険じゃ。魂を完全に吸い尽くされた者は、十中八九死ぬじゃろう……」 僕は、死ぬという言葉の重みに、ごくりを唾を飲み込んだ。 「そのような吸精、否、吸魂をサキュバスが繰り返せば、精を吸う相手は減り、それどころか種を根絶させるような敵意を受けたじゃろう。そのようなことがないように、性行為で吸精相手から精子を出させ、吸精相手から切り離された精力を吸うようにサキュバスは心掛けておる」 「…………」 「言いよどまんかったからって不満そうな顔をするなっ。……しかし、確かに今でも吸魂の術は伝わっておる。その方法は……」 「……とは」 「……く、口づけじゃ」 クロエは顔を赤くしてそう言った。
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