其の一

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昼休み、いつも恒例に耕平がやって来る。 「観月、昼飯!」と言い、猫田と一緒に食べている田中美紀に、 「美紀ちゃん、ハイ!イチゴオーレ」と言い 田中だけに貢ぎ物を持って来る。猫田の存在はなし。 実に健気だ。 「青木君、いつもありがとう、!」 ごく当たり前に受け取る、田中。 耕平君、!よく続くものだと俺は感心する。 おもむろにカバンの中から弁当を取り出すと 「観月家の父ちゃんお手製弁当だ! 幼稚園の時もだよな!」耕平がでかい声で言う。 そう、我が家は、父ちゃんこと栄治が、朝、俺を起こし、朝飯を作り、弁当も作る。そして送り出す。 実に良く出来た主夫、栄治さんです。 じいちゃんの巳之助さんも、神社の掃除など毎朝欠かさずしている。男共は働き者だ。 婆ちゃんこと睦月さんと、母ちゃんの皐月さんは、 俺同様、朝はめっきり弱く起きてこない。 俺は、あのお二人の遺伝子をたっぷり頂いたのだ。
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