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「我々は天界勝利のため。命を捧げることをここに誓います」
ステージの上で意気揚々と、一年生代表の生徒が意思表明をしている。
今日は天界魔導高校の入学式。新しい生活への期待と夢を抱き、みんなそれぞれ胸を高鳴らせていた。
「ここで、学べば俺らも悪魔共をぶち呑めせるようになるんだぜ、楽しみだな」
中学の頃から友人のカルアが赤髪を揺らしながら囁いた。
「そーかー?」
「そうに決まってるだろ」
「僕、そんな興味無いなー。カルアやリノンと笑い合って過ごせればそれでじゅうっ……!?」
お前何言ってるんだと生暖かい視線が突き刺さるのを感じて、言葉がつまった。
「あいも変わらず、呑気なことばかり考えられるルクを俺はある意味尊敬するわー」
「そんな棒読みで言われても嬉しくないわー」
「やはりか」そう答えると、いつものように、にやにやっと笑いだすカルア。
それにつられて、僕の頬も自然と緩む。
これが、僕らの当たり前の日常。
その日常が壊れるなんて、思いもしなかった始まりの日。
僕らは確かにまだ笑い合えていた。
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