遠くて、近い

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 テーブルの上に置いた携帯電話からメッセージの受信を知らせるチャイムが鳴った。  たぶん、友達からの「誕生日おめでとう」のメッセージ。  遠くて近い大人までの距離が、今少しだけ縮まったと知らせるメッセージ。  尚紀は足を伸生の身体にしっかりと絡ませ、手を伸ばして抱き寄せた。 「俺がもっと大人になるまで、ずっと一緒にいてくれる?」  何言ってんの、当たり前だろ。伸生は苦笑いして、髪を頬をそっと撫でて。耳の後ろにやわらかなキスをした。まるで十八歳になる前にいつもしてくれていたような、優しいキス。  本当はずっと、こんなキスを望んでた。  今やっとわかった、これこそが人生で一番大事なこと。すっかりそんな気になっていた。
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