34人が本棚に入れています
本棚に追加
テーブルの上に置いた携帯電話からメッセージの受信を知らせるチャイムが鳴った。
たぶん、友達からの「誕生日おめでとう」のメッセージ。
遠くて近い大人までの距離が、今少しだけ縮まったと知らせるメッセージ。
尚紀は足を伸生の身体にしっかりと絡ませ、手を伸ばして抱き寄せた。
「俺がもっと大人になるまで、ずっと一緒にいてくれる?」
何言ってんの、当たり前だろ。伸生は苦笑いして、髪を頬をそっと撫でて。耳の後ろにやわらかなキスをした。まるで十八歳になる前にいつもしてくれていたような、優しいキス。
本当はずっと、こんなキスを望んでた。
今やっとわかった、これこそが人生で一番大事なこと。すっかりそんな気になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!