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アパートのドアを開けた時、尚紀の着ているTシャツが誕生日プレゼントのものだと、伸生が真っ先に気付いてくれたことは嬉しかった。でも今は脱がされて、床に放り出されている。
飲ませて、という尚紀の頼みに伸生はかなり躊躇したようだったけれど、もう一度頼むと困った顔をしつつも折れた。
自分のと彼のと、二人分。尚紀の腹の上に出された乳白色の液体を、伸生は指でくるりと円を描くように混ぜてすくって、そのまま半開きの尚紀の口の中へ差し込んだ。指に舌を絡ませて舐めとって、口の中の唾液と混ぜて飲み下す。
無駄に廃棄され続けていた液体を、新しい方法で消費した。覚悟してたほどまずくもないけど、美味しいわけでは全くない。近くて遠い、0.03ミリの距離を越えた味。でも、毒にしてはマシな味だ。これは彼を欺いた罰で飲まなきゃいけない毒。誠実さを描いた罰。
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