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「え、えーと、大変言いにくいんですが、一つ誤りがありました。
今年、最も優秀なピアノ演奏家は……橋本美希さんではなく……」
え……?嘘でしょ……?
「え?美希が一位じゃないってどういうこと?じゃあ、今年の優秀なピアノ演奏家は一体……」
「如月葵さんです!
「え……?」
私の頭の中は真っ白になって、一瞬のことがまるで永遠のように長く雑音が聞こえなかった。
「すみません、情報が誤って伝わっていました」
「……美希……」
申し訳なさそうにする葵に言った。
「大丈夫……私も、他の人が一位を取るなら葵が取ってくれてよかったって思ってる……」
「……ありがとう」
私より葵の方が優れてた、ただそれだけのことだったに過ぎないの。次回、頑張らないとね。
そう決意した私の頬には大粒の雫が流れ落ちた。
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