ひとつ屋根の下で…1

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「飲んでますか!!」 佐伯 俊哉(さえき としや)に絡んでるのは赤い髪の青年、片瀬 律(かたせ りつ)は天才ヴァイオリニストと高校卒業して留学したが最近日本に帰って来たらしい。 学生時代…律に友情以上の感情を抱いてた俊哉は出来れば会いたくなかったが律がこの同窓会に参加してると知ったのは会場の居酒屋に来た時だった。 そのまま帰る訳にも行かないので少し酒を煽っているといつの間にか出来上がってしまった律に絡まれる羽目になった。 (コイツ、酒癖悪くないか?) やたら身体を密着させる律、おかげで酔うつもりだったのに酔い冷めてしまった。今度は別の意味で理性を失いそうになる。 「これでお開きにしようぜ」 ようやく解放されると安堵する。 「じゃあ、佐伯は片瀬を頼んだぜ」 「お、おい!!」 無責任な提案に抗議しようとするが話はそれで終わりと同級生達は去って行った。俊哉は途方に暮れながら律を見た。 猫のようにゴロゴロする律。このまま放置することも出来ず。俊哉は仕方なく肩を貸して律の家に向かう。 「って律の家ってどこだ!?」 俊哉はいきなりそもそもの疑問にぶち当たる。 「律!お前の家はどこだ!?」 「あっち…」 「どこだよ」 律が指したのは月で俊哉はかぐや姫か!!とツッコミを入れたくなった。 「確かにかぐや姫のように綺麗だ…って違う!!」 独りでノリツッコミする俊哉は律に再度訊ねる。 「酔ってないでお前の住んでる場所を教えてくれ」 「酔ってませ――ん…」 律は俊哉に抱き付いたまま眠りに入った。 「う、嘘…だろ?」 本格的にどうしようもなくなる…律は仕方なくタクシーを呼んで自分の家に向かわせる。こうなったら起きるまで家で面倒を見るしかない。 家に着いて律をベットに寝かせようとするが中々離れてくれない律はため息を吐いて一緒に寝ることにした。 「んっ…」 全然寝た気がしない内に目が覚めてしまった。昨日のことは夢か?と思いたかったが抱き付いてる律を見て昨日のが現実だと思い知る。
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