第1章

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和美の婚約者は水田利彦と言った。和美は、纐纈に言われて、水田に気をつけるようになった。家を売らせて金を得ようとする結婚詐欺を疑った。和美は水田に言われたが、いろいろな理由をつけて家の売却を拒否し続けた。ある時、水田は、和美に一枚の写真を見せた。その写真はやはり和美を撮ったスナップだったが、和美の肩に女の子の顔が写っていた。水田は心配そうに、 「和美さん、こんな写真が撮れたよ!知っている霊能者に見せたらすごい怨霊だと言われたんだ。除霊を勧められた。300万円かかるらしいけど、和美さんの命には代えられないから、僕は受けたほうが良いと思う。どう、受けようよ?」 和美は、 「考えてみるわ…」 そう返事を濁した。 それから数日後、水田がアパートのベランダから落ちて重体となった。和美が病室に駆けつけると、うわ言に、 女の子が…女の子が… と繰り返した。 和美は、その時、水田の首筋に二つの小さな手の跡がくっきり残っているのを見た。
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