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「何が目的だ…」
「話が早くて助かるよー。今度期末試験あるじゃん? それの回答をこっそり教えてくれるだけで良いからさー」
ニヤニヤと笑う智紹に対して、草摩の表情は変化が見られない。草摩はハァ、と小さく溜息を吐いてから口を開いた。
「その願いは聞けないな」
「じゃあバラすよ?」
「証拠は?」
そう言われて思わず口を開き掛ける智紹の表情を草摩は見逃さなかった。形勢逆転し、草摩は立ち上がり智紹を壁まで誘導する。逃げられないように両手を智紹の顔の横へ置いた。
ジワリと汗が滲む。自分は今から何をされるのか、と智紹は気が気ではない。
「残念だったな、穐津」
ニヤリと笑った草摩は眼鏡のせいなのかそれとも、その眼光のせいなのか冷たい表情をしていた。これからなにをされるのだろう、と思考を巡らせる。
「証拠がなければお前の言葉は信憑性に欠ける」
「っ…」
「俺の勝ちだ」
勝ち誇った表情に智紹はカッとなる。そのまま草摩の襟首を掴み、無理やりキスしてやった。驚いて逃げようとする草摩を逃さぬよう、更に口づけを深める。くちゅりと卑猥な音が室内に響いた。智紹はスマホを取り出しカメラを起動させる。角度を調節し、シャッターを切った。
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