第4章 Close to you

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 あくまで雪野を立ててくれる樹村。 「真聡が羨ましい。こんな素敵な人と公私共にお世話になっているなんて」 「だろう? だめだぞー、涼太郎、メグを好きになったら。メグは俺のもんだからな」 「そうだな、気を付けるよ……」  少し樹村の雰囲気が変わったような気がした。  しばらく3人で話していたが、真聡のスマホに友人から電話が入り、その場を中座した。  雪野と樹村、二人きり。  日曜の夕方だからか、それ程客は多くない店内。  静かではないが、賑やかでもない。  3人で会話していたから間が持っていたが、突然の2人の空間に雪野は少し戸惑う。  しかしそれはおくびにも出さない。  雪野は社会人で、仮にも役職さえ持っている立場。  苦手な人との応対も割りきってこなすことは可能なのだ。  年下に媚を売るように話しかけたりはせず、静かに飲んだり食べたりしていた。  痺れを切らし、口火を切ったのは樹村だった。   「俺、真聡、好きなんです」 「うん、気付いてたよ」 「こないだはすみませんでした。敵意剥き出しで。痛かったでしょう、手」 「あれは効いたな」  雪野が笑いながら右手を軽く開閉する。 「今日、どうして僕に会いたかったのかな?」 「雪野さんがどんな人か知りたくて」 「で、どうだった?」 「カッコいいし優しいし、すごくいい方だと思います。社会人としても尊敬します。でも……」  先日、あんなに自信満々だった樹村だが、途端に不安気な顔つきになる。
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