第4章 Close to you

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「そっか、そうかも。俺、インターン、楽しいけど、やっぱ他の奴らに比べたらみそっかすでさ。人の何倍も勉強したり、調べたりしなくちゃ追い付けなくて。けっこうきつかったもんなあ。そうだな、自分で気付いていなかっただけで、ストレス溜まってたかも」 「頑張り過ぎないようにね」 「大丈夫。また明日から後半戦始まるけど、メグに会えて復活したし、頑張れる」  並んで購入した当日券で、展望台へと上がる。  展望デッキだけで帰ってもよかったが、せっかくだからと追加料金を払い、更に上階にある展望回廊まで足を運ぶ。 「わあ、もう建物も車もミニチュアだね」 「こえぇ、吸い込まれそう」  雪野と鳴海が住む街はそれ程広くない。  故に知り合いと出くわす可能性が高く、外デートが難しい。  東京は鳴海の故郷だが、あまりにも人が多すぎる。  地元でない限りは、知人に出会うことも皆無。  恋人のデートスポットで、普通に一緒に歩けることが雪野はとても嬉しかった。 「メグ、なんか機嫌よさそう」 「えっ」 「ずっとヘラヘラしてる」 「酷いなあ……ニコニコしてるって言ってよ」 「でも俺もそうだから」  景色を満喫し、スカイツリーを後にした2人。  そのまま浅草寺まで足を伸ばした。 「外国人すごいな」 「うん、テレビで見てはいたけど……」  あまりにもすごい人混みで、前を歩く鳴海とはぐれそうになる。  思わずコートを掴んで後を追う。  すると鳴海がその手をそのまま握り返してきた。 「ま、真聡っ」 「誰も見てないって。ほら、はぐれるよ」  鳴海の暖かい手の温もり。  確かに繋いだ指先は、人の波に隠れていて誰の目にも止まらない。  こうやって恋人と手をつないで外を歩けるなんて、雪野の街では考えられない。 ーー東京に来てよかった。              地下鉄と電車を乗り継いで東京駅に戻っている時。 「あれ、涼太郎?」  隣にいる鳴海がスマホを見て呟いた。 ーー樹村くん?  雪野が訝しんでいる事にまるで気付かない鳴海は電話に応答した。
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