第4章 Close to you

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「涼太郎? あ、うん。えっ? ははっ……」  雪野の横で樹村と話す鳴海が、『少し待って』とアイコンタクトを送ってくる。  それに薄く微笑んで雪野は了解の意思を表す。  今日鳴海が雪野と過ごしている事を、樹村は知っていて電話をかけている。  一昨日、強い悪意を樹村から感じていた雪野は、嫌な予感をせずにはいられない。  そんな雪野の心中を察する事ない鳴海がスマホから顔を離して、雪野に話しかけた。 「涼太郎がさ、メグと3人で夕飯食べたいっていうんだけど、どうかな?」 「夕飯……」 「メグに聞きたいことがあるんだって」  聞きたい事は、鳴海のことだろうか。  彼の近寄り難い雰囲気は苦手だが、鳴海が仲良くしている人であれば、邪険に出来ない。 「ん、いいよ」 「サンキュ」  そう言うと鳴海は樹村に了承の意を告げて、通話を切った。 「ごめんな、ほったらかしにして」 「それはいいんだけど、樹村くん、僕に何を聞きたいんだろうね」 「俺がメグのこと、接客のプロだって自慢してたからかな。仕事のこととか聞きたいんじゃない?」 「そんなに僕のこと、彼に話してたのか?」 「涼太郎、俺の恋人が男って知っても、全然偏見とかないから、つい。だって向こうだとメグの自慢話って出来ないじゃん」 「自慢とかしなくていいし」 「何でだよ、俺のカレシはすごいんだって、大声で言いたいんだっ、本当はっ」  地団駄を踏んで剥れる鳴海は、小学生みたいだ。  雪野はそんな鳴海を密かに可愛いと思わずにはいられなかった。
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