第1章 囁きは秘め事の如く

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 ――俺、なんでこいつと付き合い出したんだっけ?  麻衣との交際は数ヶ月前からだ。  鳴海に彼女がいると知りながら近付いてきた。エロい見た目がタイプで、前カノと別れないまま何となく付き合いだしたら、いつの間にか麻衣が本カノに収まっていた。  ――結局、こいつら、同じ穴の狢じゃん。くだらねえ。  自分の二股は棚に上げて、恋人のいる鳴海に擦り寄る彼女らを心の中で罵った。  この場はとりあえず本カノの麻衣の顔を立てて、沙織には「付き合っているつもりはなかった」と頭を下げた。これくらいの謝罪で取り繕えるのならと、鳴海には面倒なプライドは持ち合わせていない。
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