第3章 Love you too

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 相手が桜庭だけならまだ許容範囲だ。  いや、桜庭一人でも許せないのに、雪野に色目を使う男がもう一人いる。  旅行代理店に勤務しているの麻生島(あそじま)という男。  営業職のためオフィスに頻繁に足を運んでくる。  鳴海は何度か見かけたことがある。仕事が出来そうだ。かなりな自信家と見た。  雪野と同年代くらいか。  落ち着いていて真面目そうなところが良いのよね。  ホテル従業員女性陣の評判はかなり良い。  鳴海はますますムカついてしまう。  ホテルの3階。一般客は立入禁止のフロア。その一角にオフィスがある。  そこで接客以外の業務を行う。  管理、企画、営業、宿泊、料飲、宴会。  様々な部署があるが雪野は料飲部に所属している。  そこの係長でありながら、企画部兼任だ。  雪野はどの部署も欲しがる有能な人材であることを意味している。  そして職務上取引先との打ち合わせが多い。 「お疲れ様です。来月のシフト持ってきましたぁ」  鳴海は空いた時間にオフィスに顔を出した。  わざわざここに提出する必要はない。誰かに頼めばいいのだ。  だが鳴海はわざとここに来た。  最近内勤ばかりの雪野はレストランに来ない。  雪野会いたさにバイトに入っている鳴海としてはいささか不本意な日々を送っているのだ。    しかし雪野は自席にはいない。  どこにいるのか? オフィスを見渡す。  すると後ろから川村主任に声をかけられた。 「シフト表持ってきたんだね。貰っておくよ」 ーー主任じゃなくてメグがいいのになあ。  親切に手を差し伸べてくれる川村には大変申し訳ないが、鳴海は内心落胆しながら渋々用紙を提出した。 「……あのぉ、雪野係長は……」 「係長なら今旅行代理店の営業さんと打ち合わせしてるよ、ほら、あそこ」
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