高崎美雪編 《9》

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「あのな。ここからはマジメな話だ」 今までは余興だったようで。 真剣な顔をして南條さんが話し始めた。 「あ、はい」 俺も、つい姿勢を正していた。 「美雪ちゃん。 あれから誰かに付け狙われたりは?」 叶大さんが訊いて来たことに 「あれからですか? 真理子が逮捕されてからは大丈夫ですね」 意味が分からないけど、そう答えると 「まず最初にさ、この間俺が美雪ちゃんに この店の前で偶然会ったんだよ」 そう話し始めたのは叶大さん。 なんでも、美咲さんに用事があって店に来ると 美雪たちが、数人で昼を食べに来てたそうで。 「驚かそうと思ってさ、隠れてたんだよ。 その時に気が付いたんだけど。 美雪ちゃん、男に尾行されてた」 いつもおどけた感じの叶大さんの印象だったけど。 今は、ものすごく真剣な顔だ。 「尾行ですか?」 驚いて、テーブルに手を強めについちゃった。 音が鳴るほど、皿やコップがぶつかり合ってた。 「俺と同じようにさ、 建物の陰に隠れてるのを見つけたんだよ。 気になったから、そのまま見てたんだ。 美雪ちゃんたちが会社に戻るとき その男も後をくっついてったぞ」 「・・・・・・・・・・・」 何も言えずに、無言で叶大さんを見ちゃってた。
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