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こちらの会社の階段は、外にある非常階段だけのようで、社食がある階の一番奥まで進んでから扉を開けると
ちょうど外壁工事中の為に、足場と緑色のネットで覆われていて視界が塞がれている。
どうぞ、とレディーファーストを受けて先に外に出ても、自然と並んで階段を昇っている。
「言っておくけど、俺もキミの部署も15階だよ?大丈夫?」
「はい。わかってます。志村課長も大丈夫ですか?」
「わかんないけど、とりあえず行ってみよう」
カンカンカンと鉄骨階段を昇る際に発せられるヒールと革靴の音が共鳴しているようで、耳に心地良い。
社員食堂があるフロアは2階。こちらの会社は自社ビルで18階まであるが、社員が入る部署は15階まで。
3階から8階までが機械情報本部、9階から10階が非鉄金属本部、11階から15階までが鉄鋼本部と鉄鋼原料本部があり
あたしが挨拶回りをするのは11階から上だと教えてくれる。
2階から11階まで一気に会話をしながら昇っていても息を切らす様子も見られないから、適度に運動はしているのが窺える。
「日本は今までにも来たことはあるの?」
「はい。先祖のお墓がこっちにあるので数年に一度の間隔でこちらにも来てます。」
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