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「悪いね、会社まで押しかけちゃって」
イスから立ち上がった南條さんに
「連絡先を訊いてなかったしさ。
美雪ちゃんには聞かせないほうがいいと思って」
叶大さんが南條さんの隣に立ち
「初めましてぇ!佐伯恭司でっす!」
最後の最後。
やっぱり花音さんの旦那さんの恭司さんだった。
「初めまして片桐智也です。
美雪が大変お世話になりまして」
やっと恭司さんにもお礼を言えた。
あれから1月以上経っちゃってるのに。
「もう仕事は終わった?」
俺が手に持ってるバッグを見て
訊いてくる南條さんに
「はい。ちょうど部署を出るところでした」
危うく入れ違いになるところだ。
俺、ここを素通りして地下に行くところだったし。
「グッドタイミング!ほらみろ!」
「ば~か。
お前がいつまでも食ってるからだろ!」
「そうだよ、
もっと早く来るつもりだったのに!」
3人で漫談でも始まったか?
「とりあえずさ、この後時間ある?」
「大丈夫です。あの、
美雪に何かあったんですか?」
不安になって、この場で訊いちゃった。
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