高崎美雪編 《9》

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「悪いね、会社まで押しかけちゃって」 イスから立ち上がった南條さんに 「連絡先を訊いてなかったしさ。 美雪ちゃんには聞かせないほうがいいと思って」 叶大さんが南條さんの隣に立ち 「初めましてぇ!佐伯恭司でっす!」 最後の最後。 やっぱり花音さんの旦那さんの恭司さんだった。 「初めまして片桐智也です。 美雪が大変お世話になりまして」 やっと恭司さんにもお礼を言えた。 あれから1月以上経っちゃってるのに。 「もう仕事は終わった?」 俺が手に持ってるバッグを見て 訊いてくる南條さんに 「はい。ちょうど部署を出るところでした」 危うく入れ違いになるところだ。 俺、ここを素通りして地下に行くところだったし。 「グッドタイミング!ほらみろ!」 「ば~か。 お前がいつまでも食ってるからだろ!」 「そうだよ、 もっと早く来るつもりだったのに!」 3人で漫談でも始まったか? 「とりあえずさ、この後時間ある?」 「大丈夫です。あの、 美雪に何かあったんですか?」 不安になって、この場で訊いちゃった。
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