高崎美雪編 《9》

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「俺もさ、叶大にその話を聞いて ちょっと思い出したことがあるんだけど。 美雪ちゃんのお父さんの名前ってわかるか?」 恭司さんに訊かれたことに 「ハイ。高崎喜伸さんだそうです」 「やっぱり・・・・」 俺の返事を聞いて、 考えるしぐさを見せる恭司さん。 「うちのカミさんの家の墓と 美雪ちゃんちの墓が隣同士だっていうのは?」 「あ、聞いてます」 「俺らもさ、隣同士のお墓だったから。 気になってたんだよね。 美雪ちゃんのご両親が殺された事件が」 南條さんが発した言葉に 俺、固まっちまった。 何か、美雪の両親にはいわくがあるのは 知ってた。ってか気が付いていた。 だって、仏壇を未だに箱から出してないもん。 それを伝えると 「俺らもうろ覚えなんだけどさ。 あの子のお父さんって、新薬の研究者でさ。 おそらく、その関係で殺されたんだろうって 当時は報道されてたね」 「研究者。じゃあ、どこかの製薬会社で 研究を任されてたとか・・・」 「そうだ。長野のほうにある大手の製薬会社。 そこで研究をしてたそうだ。 当時の会社の関係者の会見では その当時では画期的なガンの治療薬を 美雪ちゃんのお父さんが開発をしたらしい」
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