高崎美雪編 《9》

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寝室に入れば お酒を飲んだ美雪は 口を少し開けて眠りこけている。 最近、夢にうなされていることが多い。 てっきりと真理子のせいだと思ってたが。 もしかしたら 俺が持って帰ってきて手つかずの あの仏壇のせいかもしれない。 持って帰って来た時の 美雪の引きつった顔。 心のこもってないお礼。 箱から出しもしない不可解な行動。 どれをとっても 悪夢を見る原因に繋がってる気がする。 2度も襲われたことも すぐに忘れたかのようなふるまい。 それだって、この事件が関係しているのだろう。 ・・・・・・・・・・・・・ 「ふわぁ~。着いたねぇ!」 「ああ。ちょっと疲れたな」 2人で乗っていた車から降りて 停めさせてもらった駐車場から歩き出した。 「ここが香田さんのご実家か」 見上げる先には、 少し大きめな2階建ての一軒家。 「いらっしゃい2人とも」 車の音を聞きつけて 香田さんのお母さんが出迎えてくれた。 「突然にすみませんでした」 「いいのよぉ。さあどうぞ」 「ただいまー!」 美雪にとっては実家といってもいい 育った家。 自分の家ではなくても 7歳の時から高校を卒業するまで暮らした 思い入れのある家だろう。
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