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「あたしも!あたしは三上真理です。アカネーサンの一つ下です。よろしくです」
茜の隣の席の、黒髪のショートの方は女の子って感じがまだ残っている女性。
「ふふ、こちらこそよろしくね。って、アカネーサンってなに?」
「あたしが茜で、一つ年上だからってここではそう呼ばれてるのよ」
2人の会話だけで、茜は真理ちゃんには姉御的立場だって事がわかっちゃった。
「あたしは沖田有紀よろしくね」
茜の反対隣に座って声をかけてくれた人は、あたしよりも年上のお姉さんのようだ。
「あたしは佐川菜穂。有紀と同じ誕生日が来て28歳よ」
あたしの右隣りの方も、自己紹介して下さった。
「お二人とも、これからよろしくお願いします」
あたしも座ったまま二人に挨拶を返すと、ニコって笑ってくれた。
あたし達が座るデスクは、主に営業補佐の女子社員ばかりが固まって6人で一つの塊ができていて
その他に、同じ女子社員の島で2つ、その並行する形で男性社員の営業の方ばかりが陣取る島が、同じく6席で3つある。
粟野課長は、その島の前の真ん中にデスクを構えていて、あたし達を一望できる位置を陣取っている。
「神倉さん、ちょっといい?」
「はい、ただいま」
小さなメモ帳とボールペンを持って課長の席に近づき
「お待たせしました」
「今日の所はここのファイル3にうちの営業先一覧が載っているからそれを頭に入れて欲しいのと、これから毎日、俺のパソコンを業務終了時にバックアップする事もお願いしたいんだけど」
「畏まりました。バックアップはどちらの方に?」
「こっち。ここだけど、わかる?」
パソコンのディスプレイに出た画面を指さす彼の指が、男の人の割には骨ばってなくてすらりとしているのに、つい、目が釘付けになった。
「あ、はい。畏まりました」
・・・・・いけない。
・・・・思わず見惚れてしまった。
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