1. 風の扉で

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さすがに正面から入るのはまずいと、2人は通用口から進入した。 別々に通り過ぎたのでスタッフの入店だと思い警備も声をかけなかった。 地下のエンジニア作業室の前を過ぎた辺りで2人は合流して4階客室フロアに続く従業員用のエレベーターに乗った。 ここで誰にも会わなければもう安全だからと、2人は子供のようにドキドキしながら各階を通過するランプを見送った。 扉が開くとそこはもうお客様の空間。 ご迷惑をおかけしないようにと足元まで静かに2人は先に進んだ。 4階フロアの事は月子も気になっていた。 本館の4階最北には窓ではなく扉がついていた。 館内案内図だけではその周辺がどうなっているか分からなかったのだ。 『これをどうぞ。』 近藤さんが車を降りた時からずっと手にしていた薄手のパーカーを月子の肩に乗せた。 『どうして?』 その言葉が終わるかどうかのところで近藤さんがポケットから出した小さめの鍵を使い最北にある扉を開けた。 まさかの突風に月子がよろめいた。 『ね?スカートでもはいていたら大変な事になっていましたよ。』 近藤さんにはスカートを手に持つ自分が見えていたんだろうか。 そして近藤さんは、自分が先に行くからといった表情で振り返り月子に微笑んだ。
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