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気まずい一年が終わり、やっとソウくんが卒業した。
相変わらず豪華な部屋に、アイリさんは時折帰ってきてくれたけれど、いつも忙しくてわずかな日数、実家と寮をせわしなく行き来している。
この春休みは、残念ながら戻ってくるのは無理らしい。
……コウはどうする気なのかな。
着々と夢を叶える彼は、今は一人暮らしをしている。
実家に帰るソウくんと、会うのかなぁ?
……っていうか、アタシとのデート約束は?
この一年……正確には一年と3ヶ月。まるで針の筵に座るような学園生活だった。
ソウくんは完璧にアタシを敵視するし、そのせいで新生徒会の皆さんも何かとアタシに意地悪だった。
一般生徒には、生徒会役員なんて無関係……と思っていたのに、ソウくんを崇拝する新生徒会長と同じクラスになったのが運の尽き。
何をどこまで知ってるかはわからないけれど、コウが卒業した新年度から、アタシは微妙な立ち位置にいる。
また同じクラスだったらヤダな、と思いつつ、アタシは思わずため息をつく。
そうだ……面倒なのは、学校だけじゃないんだった……。
コンコンコン。
寮の赤い可愛いドアがごく控えめにノックされた。
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