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「大量?」
それよりも桜太には気になるワードがあった。実験狂というだけで腰の引ける先生が残した大量の記録。それはもう嫌な予感しかしない。
「そう。段ボール箱15箱分かな。それもあんまり分類されてないのよ。そんなのどうするの?」
カップ麺を持ったまま箸でコロッケを掴んだ松崎は不思議そうだ。それはそうだ。七不思議との絡みが見えないのだろう。
「いえ。ちょっとした調べものです」
桜太は嫌な予感が的中したことで目眩がしていた。段ボール箱15箱分の未分類の記録から探す。もう途方もないことをしようとしているのだと理解するしかない。
「どうだった?」
すでに腕まくりする三年生を横目に、迅が確認する。これでもう三年生は記録が膨大だと知っていたことは確定だった。それならば先に言ってほしい。
「諸君、敵は北館にいる」
桜太は覚悟を決めて北館を指差していた。
段ボール箱を化学教室に移動させるだけでも大仕事となった。紙類を入れているのだから小さめの箱だろうと高を括っていたら大間違いだ。かなり大きな箱に限界まで詰め込まれた状態で15箱あった。重いうえに大量。これだけでやる気は半減する。
「さすがは林田先生だな。本当に混沌としている」
段ボール箱を開けた芳樹の感想がこれだった。そんな混沌を見たくないと桜太は箱を開けるのを躊躇ってしまう。
「なにこれ?こんなの高校で出来るわけないよ。しかも物理だし」
別の箱をチェックしていた千晴が素っ頓狂な声を出す。化学の先生と聴いて期待していたのにがっかりとのニュアンスもあった。
「物理?」
そこに物理分野なら任せろと優我が覗き込む。するとそこには核反応について詳細に記された資料が入っていた。
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