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―― 地獄界-
カツカツ…
漢服を着た一人の少年は忙しなく足を速める。その手に持つ帖を睨みながら-
「……おかしい」
その帖を暫く睨むように見ていた少年は足を止め、片眉毛を吊り上げる
「…やはり、どう見てもおかしいですね。魂の帳簿が全く合いません。
本来、死者は死神によって黄泉に連れられ、先ずはそこで天国か地獄かに振り分けられるので、本来、魂の帳簿が合わないはずがないのですが…
これは一体‥‥?」
本来、地獄に来るべき魂の数が全く合わない。
そればかりか、本来収まるべき魂の器も少しばかり違いますね。
説明がつくとすれば、本来死ぬべき運命だった人間の代わりに他の無関係の人間が………って、人間にそのようなことは出来ません。そんなことが出来る者と言えば、天界の住人もしくは我々地獄の住人。
よく見てみますと、パッと見ても魂の帳簿と矛盾してるのは何もここ最近だけではないようですね。
‥‥‥‥ちょっと待って下さい
「これ…」
年号をさかのぼっていくと、
「……軽く、千年前まで遡りますね」
はぁーっ‥ 困りました。まさか、しかし何故?仕事怠慢…でしょうか?もしくは故意による不正…… しかし、あまりにも酷い惨状です。すぐに調べなければ…
――…しかし、唯でさえ、仕事の激務で休む暇さえ時間が惜しい私に、そんな時間は‥
最悪は…。
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