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ここでお話しをするもの楽しくていいが、起きたのだから寮に戻ろうと思い、僕はベッドから降りる。
あ、そうだ。話すのが楽しくて、忘れるところだった。
僕は、僕に続いてベッドから降りようとしてるクロエに振り返り、
「クロエ」
「む……? なんじゃ、ナミヒト」
「つきっきりで看病しててくれて、ありがとう。嬉しいよ」
素直に、素直に。お礼を言う。照れくさいが、クロエになら、どうにも言いやすい。
そして、手を差し伸べる。
「これからも、よろしくね」
クロエは、赤くなったり、目を逸らしたり、色んな表情を見せて、最後はニッコリと笑い、
「うむ、よろしく頼む。我が王よ」
僕の手を、力強く握り返してくれた。
そして僕はぐいっとクロエはベッドから引き上げ、僕らは保健室を後にする。
「それじゃ、寮に戻ろうか」
「む? 授業はいいのか?」
「僕はゆっくり休めと総学院長が……。クロエは?」
「我は特に……。むぅ、だが、しかし! 我も寮に戻るとしよう。今日はナミヒトと一緒におるぞ。きちんとおやすみするまで見ておいてやろう」
「……勘弁。あ、あと」
「むー?」
「そろそろ、手を離そうか」
「……ぬわあっ!? は、早く言うのじゃ! もう……」
「ふふふ、ごめんごめん……」
他愛のない、だからこそ、とても楽しい会話をしながら、寮へと戻る。
今日は、勝利の余韻に浸るとしよう。この幸せを噛み締めて、来る新たな戦いに備えよう。
新たなる勝利を手にする為に。
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