『エピローグ』

2/9
前へ
/9ページ
次へ
見知らぬ天井だ。 僕が目を覚ますと、そこには見知らぬ天井があった。 「…………」 僕はぼーっとした頭のまま、身体を起こし、当たりを見渡す。 左を見ると、開け放たれた窓。気持ちの良い風が、校庭の端に植えられている木々の葉を揺らしている。 右を見ると、ベッドが三つある。そのうち一つは、カーテンが引かれている。 そして、 「ん、起きたか。無茶したなぁ、お前」 「……おはようございます。総学院長」 白衣を着た総学院長がいた。 「……理事長先生の趣味ですか?」 「嫁さんの趣味だ」 そうなのか……余計な知識が増えてしまった……。 僕は『別にそんな赤裸々なこと聞きたくなかったなぁ』と思っていると、 「真に受けんな。保健室なんだから白衣ぐらい着ててもおかしかないだろうが」 冗談だったらしい。そしてここは保健室らしい。 言われてみれば、ここはベッドの他にも、薬品棚や、身長計などが目に入る。 ここで僕の頭に疑問が浮かぶ。 「……何故、僕はここに」 「お前がぶっ倒れて気絶したからだ。その様子じゃ、何が原因で気絶したのかも分かってないな?」 「……はい」 僕が頷くと、総学院長は、 「端的に言おう。原因は吸精だ。いや、吸魂の方が正しいな。心当たりはあるだろ?」 「……あります」 総学院長はクッと頬をゆがめ、 「素直でよろしい。が、吸魂はまずいな。今回は極々微量だったから気絶程度で済んだが、ガッツリ吸われてたら危なかったぞ。今後はするな」 「……善処します」 「ここは素直じゃねえんだな」 総学院長が困ったように眉をしかめる。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加