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見知らぬ天井だ。
僕が目を覚ますと、そこには見知らぬ天井があった。
「…………」
僕はぼーっとした頭のまま、身体を起こし、当たりを見渡す。
左を見ると、開け放たれた窓。気持ちの良い風が、校庭の端に植えられている木々の葉を揺らしている。
右を見ると、ベッドが三つある。そのうち一つは、カーテンが引かれている。
そして、
「ん、起きたか。無茶したなぁ、お前」
「……おはようございます。総学院長」
白衣を着た総学院長がいた。
「……理事長先生の趣味ですか?」
「嫁さんの趣味だ」
そうなのか……余計な知識が増えてしまった……。
僕は『別にそんな赤裸々なこと聞きたくなかったなぁ』と思っていると、
「真に受けんな。保健室なんだから白衣ぐらい着ててもおかしかないだろうが」
冗談だったらしい。そしてここは保健室らしい。
言われてみれば、ここはベッドの他にも、薬品棚や、身長計などが目に入る。
ここで僕の頭に疑問が浮かぶ。
「……何故、僕はここに」
「お前がぶっ倒れて気絶したからだ。その様子じゃ、何が原因で気絶したのかも分かってないな?」
「……はい」
僕が頷くと、総学院長は、
「端的に言おう。原因は吸精だ。いや、吸魂の方が正しいな。心当たりはあるだろ?」
「……あります」
総学院長はクッと頬をゆがめ、
「素直でよろしい。が、吸魂はまずいな。今回は極々微量だったから気絶程度で済んだが、ガッツリ吸われてたら危なかったぞ。今後はするな」
「……善処します」
「ここは素直じゃねえんだな」
総学院長が困ったように眉をしかめる。
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