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総学院長は苦笑しつつ、扉へ手をかけ、
「ま、そういうのお説教はお前のお仲間に任せるとするか」
「……そうだ、クロエは。授業中ですか?」
「そこ」
総学院長は、カーテンがかかっているベッドを指差し、
「覚悟しとけよー」
悪戯を仕掛けた悪ガキのように笑いながら、保健室から出て行った。
どういうことだろう、と思いながら、僕はベッドから降り、カーテンのかかったベッドに近づく。
「……あー……、クロエ。あの、そこにいるのか?」
僕は少し躊躇いながら声をかけるが、返事はない。
「……開けるぞ? いいな? 開けるからね?」
僕は一方的な確認を取りながら、恐る恐るカーテンを開くと、
「……すー……すー……」
クロエがベッドの上で眠っていた。
「…………」
僕は頬をかきながら、どうしたものかと悩んでいると、
「……む? んん……風が……」
クロエが目をこすり、うつぶせに寝返りを打ちながらカーテンに手を伸ばす。が、そこにあるはずのカーテンはすでに僕が開け放ってしまっているので、当然届かない。
「……なんでカーテンが……って、ナミヒト! ナミヒトは起き」
唐突にクロエが飛び起き、僕と目が合う。
少しの沈黙の後、
「……おはよう、クロ」
「……うぇえええええええん! 起きたのなら起きたと言えバカ者ー!」
「うぅぶ!?」
グイン! と、勢いよく僕はクロエの腕の中に引きずり込まれた。
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