第1章

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「おらはゆふべ、牛の夢に見た。さても大きな牛もあるもんだ」「どれほどあつた」「アノー、暗闇ほどさ」   『聞き上手』小松百亀 「牛を暗闇と一致させている。夜を具体的なものに見立てることは昔からある。ただ、 「夜の底が白く」という組み合わせに新しさがある。色彩感覚のセンスを感じる言葉だね」 「黒いヨウカンの底が白くなってるみたいですね」 山路を登りながら、こう考えた。 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ。 兎角に人の世は住みにくい。 住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画(え)が出来る。』『草枕』夏目漱石
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