第1章

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まず何よりも肝心なのは、思いきってやり始めることである。仕事の机にすわって、心を仕事に向けるという決心が、結局一番むずかしいことなのだ。一度ペンをとって最初の一線を引くか、あるいは鍬を握って一打ちするかすれば、それでもう事柄はずっと容易になっているのである まず、始めてみること、気乗りしなくても五分耐えれば続けられる。そして、気持ちが乗ってくる」 「それでも、気乗りしないのなら?」 「眠かったら寝たほうがいい」 「気乗りがしないんです」 「それは、文章を書くことに向いてないってことだよ。絵とか写真とか自分に向いたものを探してみるほうがいい」 「でも、書いてみたいんです」 「それか、書きたくなるのを待つことだね」 「待つ?」 「機が熟せば書きたくなるものさ」 「そうですか?」 「充電しよう。いろいろ経験し、様々な本を読み、たくさん情報を集めて、たくさん考えることさ。『多くの本を読むこと、多く文をつくること、多く工夫し推敲すること』、欧陽脩の言葉さ」 「欧陽脩? 応用したいですね」 「とにかく、書いてみること。話を完結させることだ。引き出しをたくさん持っていて、面白い話とパターンをいろいろ仕込むんだ」
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