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「先輩?大丈夫ですよ?私の心はもうずっと先輩のものなんだから。」
キスマークなんて滅多につけない俺を気遣って、宥めるように希歩がまた俺の頭を撫でた。
俺を見下ろす希歩の視線と、見上げる俺の視線が熱く絡まる。
初めて希歩を見たあの西階段を思い出した。
3階から降りてくる希歩に心を奪われた。
本当に俺の何もかもがあの瞬間、希歩に奪われたんだ。
俺の一生に一度の恋は、紆余曲折を経て成就した。
だから、どんなことがあっても2度と希歩を離さない。
一緒にいられれば、何があっても2人で乗り越えていける。
「先輩?」
しっとりしたアルトが俺を呼ぶ。
それに答える代わりに、俺は希歩を貫いて突き上げた。
愛する希歩と求め合い、こうして1つになれた喜びが全身を駆け巡る。
この恋は運命で。
希歩がたとえ何度リセットを繰り返したとしても、きっと俺と再会して結ばれていただろうと信じている。
「愛してる。」
本人に告げることのできなかった12年分の思いも込めて、俺はこの先も希歩に伝え続けるだろう。
この命が尽きる日まで。
END
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