好きでいるということ

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「…嘘、でしょ…?」 毎日の日課として、動画サイトのランキングを閲覧する私は今日も愕然とし…うなだれた。 日々、動画サイトにたくさん投稿される無数の画像。 その中で生き残るには、常にトップを走らねばならない。 トップでなくては見てもくれないからだ。 高い機材を購入し、たくさんの手間ひまをかけた全国のクリエイターたちは、常に我が子同然の作品の否定というある意味殺人事件の被害者遺族にも似たものになりうる恐怖と戦って作品を上げている。 今も、その熱意を挫く悪魔の軍団がネット上の世界を席巻しているのだ。 気まぐれで、そばにいるだけで多くの人間を魅了し…あまつさえ地球上の全生物のトップたるヒトという種族さえ手玉に取る様々な柄の暖かい毛玉のような体毛…尖った耳…獲物を捕らえて離さない鋭い爪と牙。 その脚力と跳躍力と柔軟性で人間の家屋の内部を縦横無尽に駆け回り、悪戯という名の破壊の限りを尽くす。 なおかつ夜行生物に相応しい夜中にギラギラと光る目…骨についた肉をこそげ落とすざらついた舌を持つ獰猛かつ狡猾な超生命体だ。 しかもヤツらの罪は罪にあらず…時に大罪さえ許される傲慢不遜な超生命体。 その超生命体は今では多くの人間を虜にし、なおかつ人間より良い栄養源を欲しいままにしている個体も存在するという! どっちが地球最強の生物か分からないこの状態で、私はその超生命体に勝利すべく動画サイトを通じて多くの人間に呼びかけたが…超生命体の立場はすさまじく…見向きもされなかったのだ。 このままでは地球は超生命体に侵略されてしまう! 私はさらに超生命体に対する警戒心を高め、奴らの殲滅に動かねばならなかった。 「…私の相棒も、何度奴らに潰されたか。 いつかカタキを取ってやるよ…こいちろー。」 相棒の名前を呟き、私はさらなる策を立てることにした。 超生命体への復讐動画を。
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