10人が本棚に入れています
本棚に追加
それがただの思い出となった頃、僕は懐かしさから再び七夕の夜に『銀河鉄道の夜』を開いた。
童話なんて、そうそう読まないし、どちらかと言えばミステリーが好きなのだけど『銀河鉄道の夜』は、やはり面白かった。
そうして、七夕の夜が終わる夜更けに読み終えて、パタンと本を閉じて本を机に置き、座っていた椅子を回して後ろを振り向くと、あの時のカムパネルラとは違う少年が立っていた。
僕はびくりとして驚いたが、流石に二度目だから、腹を据えて声をかけてみる。
「もしかして、ジョパンニかい?」
そう言った瞬間、少年が頭をかきむしりだした。
「何故だ!やっと僕の時間が来たのに、もう終わる!何故、僕の名前を呼んだ!いつまで経ってもカムパネルラに会えないじゃないか!」
最初のコメントを投稿しよう!