銀河鉄道の夜を読んだ夜に~第五章~

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それがただの思い出となった頃、僕は懐かしさから再び七夕の夜に『銀河鉄道の夜』を開いた。 童話なんて、そうそう読まないし、どちらかと言えばミステリーが好きなのだけど『銀河鉄道の夜』は、やはり面白かった。 そうして、七夕の夜が終わる夜更けに読み終えて、パタンと本を閉じて本を机に置き、座っていた椅子を回して後ろを振り向くと、あの時のカムパネルラとは違う少年が立っていた。 僕はびくりとして驚いたが、流石に二度目だから、腹を据えて声をかけてみる。 「もしかして、ジョパンニかい?」 そう言った瞬間、少年が頭をかきむしりだした。 「何故だ!やっと僕の時間が来たのに、もう終わる!何故、僕の名前を呼んだ!いつまで経ってもカムパネルラに会えないじゃないか!」
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