銀河鉄道の夜を読んだ夜に~第五章~

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だけど、自分らでもさだめに逆らえないのだから、何かしらの条件が、いつも眠りを供にする替わりに目覚めのときは離ればなれなのだろう。 『銀河鉄道の夜』を読んだ僕にしては哀れだとは思うが、誰よりも一緒の時間が長い彼らは、不幸せだと言えるのだろうか? ……僕は、恋人にしろ友達にしろ、触れあい笑いあうのが楽しいけれど……。 カムパネルラとジョパンニは、いつか会えるだろうか? そんな物語を夢想して僕は机の上の原稿用紙にペンを置いた。 今夜は七夕だ。 彼らは、今宵、何処に顕れるのだろうね。 了
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