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その時代この辺の男達はね、戦地に駆り出され、女達は毒ガス造りとは知らずに手伝わされていたのさ。
お前のひいばあちゃんは直接毒ガスは作ってなかったんだけど、その島で働く軍人さんの食事の世話をして働いていて、そこにいた軍の研究員の1人と恋に落ちたんだそうだ。
ふたりは人目を忍んで近くの浜に出て、いろんな事を話した。元々漁村の育ちのひいばあちゃんは都会育ちの軍人さんに浅瀬の貝や小魚、カニやヒトデの事を教えてあげたそうだ。
ある時軍人さんがきれいな二枚貝の貝殻を拾って、片方づつ持っていようと言ったそうだ。
ところが楽しい時はそう長くは続かなかった。
あのピカドンが落ちて……この辺は大きな被害はなかったんだけどね、その工場が島ごといきなり閉鎖になって、ふたりは会えなくなった。
しばらくして海からお魚がいなくなった。と思ったらたくさんの死んだお魚が浜に打ち上げられるようになった。
最初はあのピカドンのせいだと誰もが思っていた。
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