第1章

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「あれだよ。資料を見ていて思い出したんだけどさ、科学部の実験って精神的に恐ろしく疲弊するんだよ。実験が廃止になって今のスタイルに落ち着く速さはダーウィンもびっくりだろうな。それほどまでに科学部はまともな進化をしたんだ」  そんな意見を述べる芳樹は遠い目をしていた。一年生の間に何があればあんな顔になるのか。ますます興味をそそられる。しかし芳樹は愛しのカエルと会えなかったことが悔しいらしく、カエルの鳴き声を求めて窓に張り付いてしまった。その背中は実験よりカエルがいいという哀愁が漂っていた。 「ともかく、家でも検証しよう。この調子では夏休みがこの資料だけで終わってしまう」  桜太はそう提案していくつかの資料を鞄に仕舞った。 「そうね。でもこれだけ同時に色々とやっていたとなると、どの状況でも発光しそうだけど」  疲れたように言う千晴の意見は尤もだ。これだけやっていれば間違って何かが光り出しても不思議ではない。 「あんた達、七不思議を解明するんじゃなかったの?」  顧問の松崎の突っ込みは、全員の胸に痛いほど突き刺さるのだった。
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