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分類作業に三日も掛かるとは予想外だった。桜太をはじめとして科学部員全員が眼精疲労と肩こりに陥っていた。しばらく紙に書かれた文字を見たくない気分にもなる。
「これで最後ですかね」
楓翔が段ボール箱の中から最後の紙束を取り出してほっと息を吐く。その紙束はまさかの無意味を極めた新聞の切り抜きだった。おそらく林田の趣味の品だ。切り抜きは某総選挙で毎年盛り上がっているアイドルグループのものである。科学部の資料に紛れ込ませずにちゃんと持って帰ってほしかった。
「カオス過ぎる。どうしてたまにアイドルの切り抜きやら料理のレシピやらが紛れ込んでいるんですか?それに実験の資料は?」
山のような紙を前に迅が頭を思い切り掻き毟る。それはもう誰もがやりたい行動だったので、桜太も頭がムズムズしてきた。横にいた優我はしっかりと掻き毟っている。
「この辺だよ、たぶん」
芳樹が力なく黒板前の机を指し示した。そこは山が一番高くなっていて、メインだと主張している。
「まだ検討も始まってなかったんだ」
優我は今度は机に突っ伏した。おかげで紙の束がいくつか床に散らばる。あの本の虫の優我でももう限界なのだから、誰もやりたくない気分だった。しかしここまで散らかしておいて諦めるのも悔しい。
「一応は化学と物理にざっと分類してある。まだ楽なはずだ」
莉音は目頭を揉みながら言った。あの混沌とした資料を前にそんな冷静な判断をしていたとはさすがだ。やはり常識人。
「光を発するとなると、化学分野で考えられるのは発光物質を扱っていたとか」
千晴が肩を揉みながら可能性を上げる。
「そうすると、物理ならばプラズマとかレーザーとかかな。でも、大掛かりな機械がいるよな」
桜太は物理で起こりそうなことを考えてみるも、どれも高校の教室で起こせそうになかった。
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