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「ああ。これは三重積分だな。もう高校のレベルを遥かに超えているよ。大学の教科書のコピーかな」
横から覗いて指摘した迅は嬉しそうだ。数式を放っておけないのは物理と共通なのだ。迅は早速どういう内容か検討し始める。
「あっ、やばい。さらなるカオスの予感」
桜太は資料に手を伸ばした全員が何かを真剣に見つめていることで気づいた。この資料は今までとはちょっと違う。なぜならどこかに科学部員の琴線に触れる内容が書かれているはずだ。もう誰も光の正体を追っていないのは明らかだ。
「桜太、これ見ろよ。真空状態にして何が起こるか実践したものがある。こういうちゃんと高校生らしいこともしてるんだな。意外にもさ」
優我が笑いながら資料を見せてくる。高校レベルを笑うのは科学部しかいない。どうしてちゃんとやってはいけないのか。おそらく先輩たちもお遊びだっただろうが、真面目にやっている。そこには先輩たちがちゃんと取り組んだ実験と結果が書かれていた。それに減圧して容器の中のマシュマロがどう変わるかを観察するなんて楽しそうだ。
「やってみようかな」
桜太は優我から資料を奪って真剣に見つめた。しかし次のページには化学反応式が書かれていて、謎の物質を合成しようとしていた跡がある。もうすでに分類不能だ。
しかしこうして見ると、ちゃんと科学コンテストには取り組んでいたのだ。部の存続のためだったかもしれないが、先輩たちがちゃんとしていたことにほっとしつつ羨ましくなってしまった。
「えっと。何で炎色反応をしながら放電したんだ?」
だが感心したのもこれを見るまでだった。明らかに化学教室を吹き飛ばそうとしていたとしか思えない。
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