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しかし突っ込みつつも桜太ものめり込んでしまった。先輩たちの突飛な発想の嵐は突っ込みどころ満載だが楽しかった。分野も実験内容も常にばらばらというところに今の科学部に通じるものを感じてしまう。しかも中には絶対に無理だったと思える実験内容も記されていた。
「おおい。科学部諸君。帰らないのか?私は帰りたいぞ。っていうか帰ってくれる」
夜の7時。まったく終わったという報告に来ない桜太にしびれを切らした松崎は化学教室を覗き込んで叫んだ。
「えっ?」
「うわっ。外が暗くなろうとしてる」
それぞれが資料から顔を上げて時間を忘れていた事実に気づいた。たしかこの資料を読み始めたのは昼だった。そこから6時間は経過している。元々薄暗い北館は電気を点けているのが当たり前なので、外の変化に気づかなかったのだ。
「こういう資料を作っていた頃の科学部も楽しそうだよな。実験にはあんまり興味なかったけどさ、みんなでわいわいやってる感じがするし」
立ち上がって伸びをする楓翔がそんなことを言った。
「ふん。そんなことを思えるのは一年の5月までだ。すぐに実験嫌いになるかマッドサイエンティスト道を歩むことになる」
速攻で突っ込む亜塔は絶対に嫌だという感じだ。本当に科学部を愛してるのだろうか。疑問に思ってしまう。しかも最初は水素水の検証でもしろとか言っていなかっただろうか。
「そうだな。この資料の混沌具合を見ただろ?興味のあることに突っ走るのは変わらないんだよ。お前らも七不思議で解ってるだろ?」
まさかの莉音が亜塔の肩を持つ。しかも科学部での実験は二度とご免といった顔をしていた。
「あの、何かあったんですか?」
桜太はあまりにも嫌がるので気になってしまう。
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