37人が本棚に入れています
本棚に追加
/214ページ
「アメリカでは、また乱射事件があったようね」
テレビニュースに関心を示しながら、春子は納豆をかき回している。
「自動小銃なんて売っているのだから、自業自得だ」
善春は冷淡に言い放ち、『制裁アプリ』を立ち上げる。
はじめてみるメッセージ画面が開き、『バージョンアップのお知らせ』とあった。
「バージョンアップだって」
「本当?」千世も『制裁アプリ』を開く。
……ダウンロード数が5億を超えました。その記念に、『制裁アプリ』は
バージョン2.1に変わります。
①より抽象的なデータで、個人が特定できるようになりました。
既存の告発ファイルがある場合は、
氏名が分からない場合でも、顔認証システムで個人が特定できます。
②撮影データを直接送ることができるようになりました。
システムメニューから、カメラ連動のボックスにチェックを入れてください。
画像は、自動的にネットワーク内のホルダーにアップロードされます。
③音声補助機能が付き、動画投稿が楽になりました。
動画撮影時に、被制裁者の氏名、もしくは愛称、もしくはアカウント、
及び、告発理由等を告げてください。
以降は『制裁アプリ』が自動認識し、ポイントを付加します。
今後とも、ご利用、お願いいたします……
「へー、便利になったのね」
千世が感心すると、
「殺人が楽になったことに感心するな」
……と、王寺が叱った。
善春は、作成者が、いまだにアプリの改善を図っていることに驚いた。
それなら、作成者の居所も特定できるかもしれないと思う。
最初のコメントを投稿しよう!