バージョンアップ……スマホは銃よりも強し

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「アメリカでは、また乱射事件があったようね」 テレビニュースに関心を示しながら、春子は納豆をかき回している。 「自動小銃なんて売っているのだから、自業自得だ」 善春は冷淡に言い放ち、『制裁アプリ』を立ち上げる。 はじめてみるメッセージ画面が開き、『バージョンアップのお知らせ』とあった。 「バージョンアップだって」 「本当?」千世も『制裁アプリ』を開く。 ……ダウンロード数が5億を超えました。その記念に、『制裁アプリ』は バージョン2.1に変わります。 ①より抽象的なデータで、個人が特定できるようになりました。 既存の告発ファイルがある場合は、 氏名が分からない場合でも、顔認証システムで個人が特定できます。 ②撮影データを直接送ることができるようになりました。 システムメニューから、カメラ連動のボックスにチェックを入れてください。 画像は、自動的にネットワーク内のホルダーにアップロードされます。 ③音声補助機能が付き、動画投稿が楽になりました。 動画撮影時に、被制裁者の氏名、もしくは愛称、もしくはアカウント、 及び、告発理由等を告げてください。 以降は『制裁アプリ』が自動認識し、ポイントを付加します。 今後とも、ご利用、お願いいたします…… 「へー、便利になったのね」 千世が感心すると、 「殺人が楽になったことに感心するな」 ……と、王寺が叱った。 善春は、作成者が、いまだにアプリの改善を図っていることに驚いた。 それなら、作成者の居所も特定できるかもしれないと思う。
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