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博己は私が言いづらそうにしてるのを、なんだろう?、って顔で見ている。
「好きな人の噂話聞いて、やきもちやくような女にだけは、成り下がりたくないの。だから聞こえない場所に行く」
「僕は、やきもちやかれるのも、悪くないけどね」
「なら尚更聞きたくない。博己に負けるの嫌だから」
「それ、負けたになるの?」
「なるよ」
「可愛い」
「止めて、むしずが走る」
「じゃあ、もう言わない」
「たまになら、言ってもいい」
「なら、たまに言う」
二人して笑って、ふと私は窓の方を見た。
雨の音は、まだ聞こえている。
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