ちぐはぐな二人

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 例えば、テレビのチャンネル争い。  父はニュースや国会中継、スポーツ番組専門。  母はドラマ(主に韓流)やバラエティーが好き。見事に真逆である。  ウチは基本、亭主関白なのでリモコンは父が握っている。  母は観たい番組があっても勝手にチャンネルを変える事ができない。なので、 「へー、今日○○あるんだー」 「暗いニュースばかりねー。なんか心が荒んできたわー」 「何か面白い番組無いかしらー」  と、独り言を呟きさりげなくアピールするしかない。  しかし父は頑なに譲らず、そのうち決まってイビキをかきだす。  母はその隙にリモコンを奪取し、チャンネルを変えるのだが、 「人が観てれば(なんで変えるんだ)!」  と、急に起きる。これはどの家庭にも起こりうるあるあるかと思う。この現象を自分は“親父寝入り”、“覚醒スイッチ”と呼称している。  そんな不敏な母は、決まって自分に愚痴をこぼす。 「また今日も観たい番組観れなかった……」 「録画すれば?」 「ドラマはそれでいいけど、バラエティーは一人よりみんなで観た方が楽しいに決まってるでしょ」  確かに。一理ある。 「アンタも自分の部屋でネットやらゲームやらしてないで少しは一家団欒に協力してよ」 「はい……」  自分がそれとなく父に話したら、クイズ番組と雑学系番組は観てくれるようになりました。
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