7人が本棚に入れています
本棚に追加
「あのブランドショップで出されていたバッグや靴はカラーを赤に一新してからすごく売れたそうね。丁度、ブラッディマリーみたいに」真理はブラッディマリーの真紅の液体を傾けながら呟いた「あれ、もともとはあなたのアイデアだったんじゃない?」
「だから私はブラッディマリーの赤に執着した、と?」
マスターは振り返りワイン棚を眺めた。
「赤井さんを殺害して、ここに逃げて、出したあなたの色が売れるなんて皮肉な話だけど」
「本当です」マスターは、今度は自分でグラスを用意してブラッディマリーをステアし始めた。真理に真相を暴かれてしまい、後は警察に捕まるだけ。これが最後の一杯にしたかったのだ。
「乾杯は?」
「あなたの推理に完敗した記念に乾杯」
マスターと真理はかちりとグラスを交わした。
「最後に一つだけ訂正させて。私は私立探偵だけど警察じゃないから、マスターを逮捕する権利がないの。ここで私が真相を解いてもあなたは何も変わらない」
真理はブラッディマリーを何時もより時間をかけて味わった。
「私から出頭します」
マスターはくいと飲み干した。が、真理の味覚に合わせてステアした為、自分の味覚には合わなかった「甘過ぎましたか」
最初のコメントを投稿しよう!