今夜もブラッディーマリーを

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 「あのブランドショップで出されていたバッグや靴はカラーを赤に一新してからすごく売れたそうね。丁度、ブラッディマリーみたいに」真理はブラッディマリーの真紅の液体を傾けながら呟いた「あれ、もともとはあなたのアイデアだったんじゃない?」  「だから私はブラッディマリーの赤に執着した、と?」  マスターは振り返りワイン棚を眺めた。  「赤井さんを殺害して、ここに逃げて、出したあなたの色が売れるなんて皮肉な話だけど」  「本当です」マスターは、今度は自分でグラスを用意してブラッディマリーをステアし始めた。真理に真相を暴かれてしまい、後は警察に捕まるだけ。これが最後の一杯にしたかったのだ。  「乾杯は?」  「あなたの推理に完敗した記念に乾杯」  マスターと真理はかちりとグラスを交わした。  「最後に一つだけ訂正させて。私は私立探偵だけど警察じゃないから、マスターを逮捕する権利がないの。ここで私が真相を解いてもあなたは何も変わらない」  真理はブラッディマリーを何時もより時間をかけて味わった。  「私から出頭します」  マスターはくいと飲み干した。が、真理の味覚に合わせてステアした為、自分の味覚には合わなかった「甘過ぎましたか」
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