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真理はブラッディーマリーを一口口に含むと「美味しい」と微笑んだ。
「所で最近客の出入りが減ったようだけど」
カウンター席の後ろの座席をちらりと一瞥して真理が呟く。彼女の知る限りでは何時もは身なりのいい男女のカップルや女子会で訪れる女性客の一団が賑わっているのだが、がらんとしている。
静かな夜。というのも悪くはないが……
「あの事件の影響……ですかね?」
マスターは手を休めて苦笑を浮かべながら溜め息を一つ。
「“ブラッディー・キラー”」
new moonの近辺で、若い女性が衣類を真っ赤に染められた遺体となって発見された事件が起きたのだ犯人は見つかっておらず、新聞や地元紙は犯行の特徴からブラッディー・キラーと名付けて騒ぎ立てている事件だ。
街の住民は皆、この事件に過敏になり夜間の外出を控えたのだろう。
真理を除いて。
「犯人はこの住所の住民みたいですし」
「そうかしら」真理はブラッディー・マリーを再びくいと口に含むとマスターに反論する。
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