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「犯人がこの界隈の人間ならとっくに発見されてもおかしくないと思うけど、発見されないのはどうしてかしら?」
真理はアラカルトの皿からポテトチップスを摘むと口に頬張った。
new moonのアラカルトはパスタを揚げてスティックにしたものや、スライスしたジャガ芋を揚げて薄く塩味を添えたものなど、殆どがマスターのお手製だ。
こうして酒の肴を口にしながら、ゴシップや他愛のない雑談に花を咲かせるのも真理の日課だが。
「人通りの少ない時間帯を狙った犯行なので、見つかり難いのも無理はありませんよ」
「詰まり必ず人が通るとは限らない時間だった訳ね」真理はグラスのカクテルを少し揺らした「それなのに犯人は被害者が此処を通る事を知っていた」
一見矛盾する二つの推測を合わせると、真理の結論はこうだ。
「被害者のスケジュールを予め知っていた人物がブラッディー・キラーね」
「被害者、赤井瞳さんの近親者…ですか?」
赤井瞳は事件当初はnew moonでブランドショップの同僚達と女子会をする予定だった。所が仕事で急用が入り彼女のみが女子会に遅刻することとなる。
女子会に興じていた同僚達は赤井が三十分経過しても現れなかったので、一人が様子を探る為に店から外に出た際に遺体となって発見されたのだ。
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