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「でも、赤井さんのスケジュールを知ることができるのは彼女の同寮しかいませんよ」
マスターはカウンターから身を乗り出して反論する。
「そうとも言えないんじゃない?」真理は平然とした態度で返す。
マスターからすれば赤井の同僚以外で彼女のスケジュールを知り得る人間がいる事には納得行かなかったが、ひょっとするとプライベートではいるかもしれないとマスターは思い始めた。
「同僚でないとすると、赤井さんの恋人か、彼女を付け回すストーカーみたいな奴の犯行ですかね?」
「恋人?」真理には赤井に交際相手がいたのは初耳だったので思わず眉を吊り上げた。その前に「どうしてマスターが知ってるの?」
「あらゆるお客様とお話するためには情報は必要です。だから私は新聞を読んでいるのでそういう情報も頭にあります。それに赤井さんは指輪を嵌めていますよ」
「なるほどね。でもその推理は根拠がないわね。痴話喧嘩の延長線であんな手口に出るとは思えないし、ストーカーにしては直接的過ぎる」
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