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真理はそう言うとカウンターの上の新聞紙を指さした。
「マスター。何時もその新聞紙読んでるわね。お客さんと話す為なんだろうけど、集中して読むのは事件の記事。話すのも事件の話。まるで、ここに来るお客さんには事件の真相が判らないことに、優越感を感じてるようだったわよ」
「相手が知らないことを知っていると優越感覚えるのは誰でもあるのでは?」
「否定しないんだ」真理は新しい煙草に火を点けた「それが殺人犯でもそうなるということね?」
「だと思いますよ。それだと私が犯人と言う口振りですね」マスターはクスリと口角を吊り上げた。
「違うなら否定してもいいんだけど......」
真理はタバコの吸い殻を灰皿に落とすと、話を続ける。
「赤井さんのスケジュールを知っている人間は会社の外に一人だけいるのよね。本人から予約の電話を受けたこの店の人間。赤井さんは女子会で参加する予定だったからここに目星を付けて電話をした筈よ」
「確かに電話をされてるようですね。それだと犯人と赤井さんの接点は薄いですが」
真理はマスターの態度が不審だった。否定こそしなかいが真理の発言をとって返すような。
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