問題児が現れた。

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人生とは、大海原を進むようなものだ。 平原薺という名前の船が面舵いっぱい! 取り舵いっぱい! しながら、地平線の向こうに僅かに見える道標を頼りに時に足掻きながら進むものだ。 だが人生という名の大海原は簡単に進ませる程、甘くない。どちらかといえばブラックだ。 希望していた高校に入学できた時はこれからの未来にわくわくどきどきして希望を馳せていたものだが、三年に進級した今、まだ初々しかったあの頃の自分に言ってやりたい。 大海原には魔物……問題児が住んでいるのだ、と。 問題児に直面する縁があったと知っていたのなら、ロケットランチャーなり火炎放射器なりの準備ができたのだろうが、人生とはいつ何時何が起こるのか分からないもんなんだね。 分からないから、人生は大海原のようなんだね。 なんて、人生悟ったような顔をしているであろう私を、人生の大先輩である方々に見られようものなら、まだ人生の酸いも甘いもちっとも味わってないだろうがと、強烈な平手打ちをお見舞いされそうだ。うん。でも超絶酸っぱい酸いなら絶賛味わってますわ。 酸いなんて望んでなかったんだけどね! あの時あの選択をしてしゃしゃり出た私一歩前に出ろ! よーし歯を食いしばれ! 私の必殺の左が火を噴くぜ!! なんて、あの時の私を忘却の彼方まで殴り飛ばしたい。ええ、切実に。 だって、現在進行形の形で今の私は、胃に穴を空けられん勢いで日々悩まされているのだから。 二年の後輩に。それも、問題児という厄介な肩書を付けた、だ。
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