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「どこ?」
目が合うなり深山君はそう発した。
「え?」
「わからないとこ」
あ、そういう事ね。
だいぶ言葉が足りないんじゃないだろうか。
「ええっと、ここから後とこの辺」
「答案貸して」
手渡した答案用紙をじっと見つめる。
人に自分の解答見られるのって何だか恥ずかしい。
「あのさ、問題最後まで読んでる?
『~ではないものを選べ』とか意地悪問題とか悉く引っかかってる」
「え、そう? あー、文章読むのに時間かかっちゃって、問題文途中までしか読んでないかも」
言われてみると、確かに大抵の問題は後から落ち着いて解けば出来るものが多い気がする。
「逆だろう。 文章は斜め読みでも問題文はちゃんと読まなきゃ」
深山君は呆れたように言ってから、早く読むコツを教えてくれた。
何だ、メッチャいい人じゃん。
思ったより話しやすいし。
「できたー!! いやーありがとう!!
深山君のおかげだよ。
あ、お礼に何かジュース買って来るね。
何がいい?」
彼の背中をバシバシ叩いてから私は意気揚々と財布を片手に立ち上がった。
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